田辺市で心地よい木の家を建てる・なおす 新築・リフォーム・リノベーション

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4.肌で感じられる素材感

肌で感じられる素材感 ― 暮らしを豊かにする“本物”を選ぶ理由

技術が進み、本物そっくりの質感をもつ建材が数多く出回るようになりました。一見すると見分けがつかないほど精巧につくられた素材もあります。
しかし、日常の暮らしの中で人がふれる瞬間、そこにあるのが「本物」か「模したもの」かは、驚くほど大きな違いを生みます。

手のひらに触れたときの温度。足の裏が感じるやわらかさ。光が反射したときの質感の奥行き。
素材の“本物らしさ”は、暮らしの質を左右する欠かせない要素です。

だからこそ谷中幹工務店では、住まい手の暮らしに寄り添い、長く愛着をもって暮らせるように、
“本物の素材”がもつ穏やかな力を大切にしています。


◆ きちんと育てられ、強さが評価できる地元の木で建てる

私たちは木造住宅を得意としています。上棟の日、骨組みが空へ向かって立ち上がっていく光景は、何度見ても胸に響くものがあります。

しかし、木は自然から授かった素材であり、一本一本が違う強さを持ちます。生育した山の環境、日当たり、土壌によって、
その性質は微妙に異なります。
こうした“ばらつき”が、これまで木造建築の構造計算を難しくしてきた背景でもあります。

その常識を覆したのが、田辺市にある株式会社 山長商店の取り組みです。

山長商店は、紀州材の中でも高い強度を誇る木を自社で育て、伐採し、乾燥し、さらに全量検査を行ったうえで出荷しています。
これは全国的に見ても極めて珍しい体制です。

木材に付けられるJASマーク(日本農林規格)は、その木材が公的に品質と強度を保証されたものであることを示します。
紀州材であってもJAS認定を受けていなければ「無等級材」と扱われ、強度を数値化することはできません。

しかし山長商店の木は、一本一本に

  • 産地
  • 含水率
  • 樹種
  • ヤング係数(曲げ強度)
  • JAS認定マーク

が明確に印字されています。つまり「この木がどれだけ強いか」を数値で把握できるのです。

強度の分かる木材を使えば、根拠のある許容応力度計算(構造計算)が可能になり、建物の安全性をより高い精度で確保できます。
これは住まい手の安心につながるだけでなく、設計者・施工者の責任を果たすうえでも欠かせない基盤です。
構造的に重要な箇所の木材に対してJAS認定品を使用する事により性能を担保出来るのは心強い事です。

地元の山で育ち、しっかりと乾燥され、一本一本の強さが数値で示された紀州材。
品質・強度・安定性のすべてを兼ねそろえた材を地元で調達できることは、住まい手にとっても大きな安心材料になります。

さらに、地元の木を使うことは地域の山を守ることにもつながります。
計画的に伐採し、適切に循環させることで、山は再び育ち、次の世代へと引き継がれます。家づくりを通じて山にお金が還り
地域の自然環境を守っていく――そうした持続的な循環の中に、私たちの家づくりもあります。

山長商店のもつ山々山長商店が育てる紀州の山々


◆ 新建材と自然素材 ― 経年変化が“美しさ”を育てる

現在の住まいに使われる素材は、大きく「新建材」と「自然素材」に分かれます。

● 新建材とは

新建材は、表面に特殊なシートを貼った材料で、見た目が均質で扱いやすく、施工が容易です。傷がつきにくい
汚れに強いといったメリットもあり、つくり手としても扱いやすい素材です。

しかし、その美しさは“今がピーク”であることが多く、時間とともに劣化してしまう素材でもあります。
つまり、経年とともに味わいが増すというよりは、古びていく素材です。

● 自然素材とは

自然素材は、木・紙・土・石といった、人の手が加えられすぎていない素材です。
扱う側・住まう側の両方に、多少の心得は必要ですが、
時間が経つほどに豊かな表情を見せる
という大きな魅力があります。

木目が深みを増したり、日差しを受けて色が柔らかく変化したり、壁の質感がなじんでくる。
そうした変化は、単なる劣化ではなく“経年美化”と呼べるものです。

アンティーク家具が長く愛されるように、自然素材には「時間が育てる美しさ」が宿ります。
これは、どれだけ精巧に作られた新建材でも再現できない価値です。

もちろん、すべて新建材を否定するわけではありません。表面に本物の木を使った突板(ベニア)など、適材適所で取り入れています。
ただし“本物”と直接触れ合う部分には、自然素材を積極的に採用したいと考えています。


◆ 床は「無垢材」であるべき理由


家の中で、人が最も長い時間触れている場所――それが「床」です。

歩くとき、座るとき、寝転がるとき。無垢材の床は、足裏にやわらかく、ほんのり温かく、人の感覚に寄り添います。

キズが付くこともありますが、多くの場合は削ったり、メンテナンスすることで修復できます。
むしろ、キズがその家族の歴史になり、愛着につながることも少なくありません。

無垢材の床は、単なる“材料”ではなく、暮らしとともに育つ要素のひとつです。


◆ 外壁材に窯業系サイディングを使わない理由

少し踏み込んだ表現になりますが、日本の街並みが画一的でどこか寂しく見える原因の一つとして、窯業系サイディングの普及があると考えています。

サイディングは施工がしやすく、価格も比較的抑えられるため、つくり手の都合で普及してきた背景があります。しかし、定期的なメンテナンスが必要で、劣化が進むと補修跡が目立ち、素材そのものの質感に深みが出るタイプでもありません。

住まいは何十年と街並みに存在し続けるもの。だからこそ、できるだけ本物の素材を使い、時間とともに美しく変化する外壁材を選びたいと考えています。

谷中幹工務店では、

  • 左官壁
  • 板張り
  • ガルバリウム鋼板

といった、メンテナンス性が高く、経年変化が美しい素材を推奨しています。


■ さいごに

素材は“家そのものをつくる要素”でありながら、暮らしの肌触り、時間の流れ、そして家族の記憶までも支える存在です。

もし本物と模した素材で迷ったときは、手で触れてみてください。温度、質感、肌ざわり――そこに答えがあります。

本物の素材は、決して飾り立てるためのものではなく、暮らしの一部として時間に寄り添い、静かに佇み続けます。
そして年月を重ねるほどに、その家らしさを深めていきます。

谷中幹工務店は、これからも“経年美化という豊かさ”を大切にし、住む人とともに育つ家づくりを続けていきたいと思っています。

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