土地探しのポイント
土地探しからはじめる家づくり
建築士が伝えたい「順序」と「見落としがちなポイント」
家づくりを考えるとき、最初の大きな関門となるのが土地探しです。ご親戚が土地を持ってらっしゃたり、建て替える場合を除けば、ほとんどの方がこの“土地選び”から家づくりを始めます。
しかし、土地探しは見た目や価格だけで決めると、あとで思わぬ落とし穴にはまってしまうことがあります。たとえば、予算がふくらむ・日当たりが想定より悪い・造成費が高額など。これを避けるには、正しい順序と建築的な視点が欠かせません。
1.土地を探す順序が大切
多くの方は「まず不動産会社で土地を探し、購入→その後に工務店を決める」という流れを想像されます。いち見自然ですが、実はこの順序はリスクが高い手順です。
なぜなら、土地を買うことは目的ではなく、家を建てて“豊かな暮らし”をつくることが目的だから。土地を購入しても、その土地で理想の豊かな暮らしが出来る家が建たなければ意味がありません。家づくりのパートナーである工務店・設計士に、土地探しの段階から相談する。これが失敗を防ぐ近道です。
2.資金計画を立てる|土地にかけすぎないバランス
土地をお持ちの方もそうですが、まずしっかりとした資金計画を立てましょう。家作りの総予算は考え方は 自己資金と 住宅ローンの 合計です 。有難い事があり、ご両親の 贈与が プラスアルファされることもありますが、 基本的は 自己資金と 借りる住宅ローンの合計です 。
この決められた予算の中で 土地の購入資金が 多すぎると 、思うようなお家が建てられなかったり、 お願いしたかった建築会社にお願いできなくなったりする恐れがあります 。土地と建物 とそれから必要になるであろう諸々の諸費用 。そういったものを合わせた 家づくり計画全体の資金計画を把握しておくことが大切なのです。そこをきちんとしておけば 安心して 建築の計画を進めることができます 。
最近はアプリなどでも借り入れのシュミレーションが出来たりしますが、お目当ての工務店さんがおありなら、相談される事をオススメします。家の費用はハウスメーカーや工務店さん、住宅会社によって様々だからです。
繰り返しになりますが、家づくりの全体予算は「自己資金+住宅ローン」で考えます。ここから土地・建物・諸費用をどう配分するかが非常に重要です。土地探しの前段階で「どの価格帯の土地なら安心か」を一緒に検討します。詳しくは下記ページへ。
3.購入前に現地を見てもらう(下見のすすめ)
気に入った土地が見つかっても、即契約は禁物です。購入前に、信頼できる工務店や設計士に現地を下見してもらいましょう。理由は、後からお金のかかる土地があるからです。
よくある追加費用の要因:
・古家の解体費(重機搬入不可だと高額化、近年ではアスベスト含有をきちんと調べないといけません。)
・敷地の高低差に伴う擁壁・造成(既存の擁壁がそもそも建物を建てるのにふさわしくない擁壁の場合もあります。)
・上水・下水の引込工事(前面道路の状況次第、和歌山県田辺市近辺ですと浄化槽の放流先の確認)
・接道条件が悪く、工事車両が入れない
田辺市・紀南エリアは、斜面地や段差のある宅地も珍しくありません。造成費が数百万円単位で変動することも。建築の専門家が早い段階で確認すれば、「この土地に家を建てるための追加コスト」を明確にできます。
4.法規制と設計の関係を知る
土地でどんな建物が建てられるかは、建築基準法・都市計画法で大きく左右されます。建ぺい率/容積率/接道条件/高さ制限/北側斜線/道路斜線などが代表例です。建ぺい率や容積率 などお聞きになられたことがあるかもしれません。曲者は北側斜線や道路斜線と呼ばれる建物の高さを制限する法律です。(都市部では他の高さ制限にも注意です。)
たとえば、北側斜線。北側斜線は和歌山県田辺市近辺では多くありませんが、北側隣地の日照を守るために建物の高さや形を制限するルールです。敷地の北側に住宅が近い場合、屋根を斜めにしたり、建物の一部を低く抑える必要が出てきます。特に狭小地や北道路の土地では、間取りやボリューム計画に大きく影響するため、早い段階で確認が重要です。
また、道路斜線は全ての土地に影響を及ぼします。これは、道路に面した建物が圧迫感を与えないよう、高さを道路の反対側からの距離に応じて制限するルールです。特に敷地前の道路幅が狭い場合、建物の高さを抑えたり屋根形状を工夫する必要があります。北側斜線同じように外観やボリューム計画に関わるため、設計初期での検討が欠かせません。
このように設計者が事前に検討すれば、「建つかどうか」ではなく「どう建てられるか」を評価できます。これは土地選びの精度を一段上げる重要な視点です。
5.変形地や個性ある土地を活かす
整形地・南向きは人気で価格も上がりがちです。一方で、変形地や道路条件に工夫が要る土地は、価格を抑えられるケースが多いもの。設計次第で、むしろ豊かな住まいに変わります。
たとえば変形地では、敷地いっぱいに建てようとせず、あえて“余白”を残すことで心地よい空間が生まれます。鋭角や狭い部分を庭や通り抜けの小径、物干しスペースなどに充てると、無理のない配置になります。また、建物を少し引いて植栽やベンチを設ければ、街とのつながりも自然に生まれます。変形した形状を受け入れ、その中にゆとりを見いだすことが、豊かな住まいづくりの秘訣です。土地の個性を読み取り、設計で活かすこと、それは工務店の腕の見せどころです。相場より土地費用が抑えられれば、建物の質や庭の植栽などにもさらに予算を回せます。
6.田辺市・紀南エリアの土地探しの勘所
紀南は、海に近い平地から山裾まで地形が多彩です。田辺市内でも、中山間部などでみられる緩やかな高低差があり排水計画を考慮すべきエリア、旧市街のように道路幅員が狭く車両進入や建築確認に注意が必要なエリアなど、地域特性がはっきりしています。
一方で、南紀の温暖な気候は日当たり・通風を活かした計画と相性が良く、庭や半屋外空間を取り込む暮らしが実現しやすい地域でもあります。地域の地形・気候・法規を熟知する工務店に相談することで、無理のない土地選びと計画が進められます。
7.土地探しは家づくりの一部です
土地から探す場合は ついつい 土地のことばかり考えてしまいますが 一つ一歩引いて 全体の計画を見渡して 進めることが大切です。土地探しを不動産だけの話として切り離すのではなく、家づくりのプロセスとして捉える。家の向き、光の入り方、風の通り道、庭とのつながり──これらはすべて土地の条件から決まります。
土地選びの段階から設計士が同行し、法規・日当たり・高低差・視線などを踏まえたアドバイスを頂く。この事により、「買う前に建築士の目で見る」ことで、後戻りのない家づくりが可能になります。住宅会社さんに 土地を探してもらうお手伝いをしてもらうことも可能ですし 、ご自分でいいなと思われる時は見つけられた場合も 下見をしていただくようにお願いすることを お勧めします。
まとめ|土地選びから相談できる工務店へ
土地を買う前に工務店へ相談するのは、順序が逆に思えるかもしれません。けれど実はそれが、失敗しない土地探しの秘訣です。「どんな暮らしをしたいか」「どんな家を建てたいか」を軸にすれば、土地は自然と絞り込まれていきます。私たちは、そんな“暮らしの中心”を一緒に描くパートナーでありたいと考えています。
資金計画もセットで検討を。土地と建物のバランスを先に定めることで、計画は格段に進めやすくなります。
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