1.構造的な安心感 なぜ耐震等級3が必要なのか?
構造的な安心感 ― なぜ「耐震等級3」が必要なのか

家づくりでいちばん大切なのは、「長く安心して暮らせること」です。設備が整っていることや、見た目が美しいことよりも、まず揺るがない土台となるのは“構造の安心”だと考えています。
特に和歌山は、南海トラフ地震の大きな被害が想定される地域。
地震に強い家は“あると良い”ではなく、“必ず備えるべき要素”です。
デザインや設備より先に「構造の安心」を担保すべきということ。そしてそれを確実なものにするのが、
耐震等級3 × 許容応力度計算(=構造計算)です。
◆「工法が強い」より大切なのは、“計算されているか”
住宅の説明で「○○工法だから強い」「大きい柱だから安心」という言葉を耳にします。
しかし実務の視点から言うと、工法名や柱の太さよりも、“一棟ごとに構造計算をしているかどうか”のほうが圧倒的に大切です。
構造計算では、建物に作用する
- 地震力
- 風圧力
- 積雪荷重
- 床の横揺れや偏心
をすべて数値化し、「本当に耐えられる骨組みになっているか」を確認します。
倒れないだけでなく、“壊れにくい”。その違いは、災害時の暮らしの継続性に直結します。
構造計算については、詳しい解説ページでも紹介しています。
◆耐震等級とは? ― なぜ「3」を選ぶべきなのか
耐震等級は、建物の“地震への強さ”を示す指標で、1〜3に分かれています。
- 等級1:建築基準法の最低基準。「倒壊しない程度」。
- 等級2:等級1の約1.25倍。
- 等級3:等級1の約1.5倍。警察署や消防署レベル。
よくある誤解に「国の基準だから等級1でも大丈夫」という考えがあります。しかし基準法は“最低ライン”であり、地震後も住み続けられるかどうかまでは保証しません。
南海トラフ地震のリスクが高い和歌山で、家族の命と暮らしを守るには、最低基準では不十分。だからこそ私は、“最も強い基準”=耐震等級3を標準にすべきと考えています。
◆同じ“耐震等級3”でも「中身」が全然違う
ここが最も重要なポイントです。
耐震等級3には以下の2種類があります:
- 仕様規定による耐震等級3
- 構造計算(許容応力度計算)による耐震等級3
どちらも基準として間違いではありません。しかし家づくりの現場に立つ者として、私が最も重視しているのは、“一棟ごとに正確な強さを確認すること”です。
仕様規定は「一般的なモデル住宅」に基づいて強度を判定します。一方で実際の住宅は、
- 間取り
- 窓の大きさと配置
- 屋根形状
- 吹き抜けの有無
- 敷地条件(風・地盤)
など、一棟ごとに条件がまったく異なります。
そのため当社では、より確実な安心をお届けするために、許容応力度計算による耐震等級3を採用しています。
“その家のためだけに行う計算”であるからこそ、本当の意味で「地震に強い家かどうか」を確認できるのです。
◆熊本地震で実証された「耐震等級3の強さ」
2016年の熊本地震では、震度7が2回連続で観測されるという前例のない揺れがありました。
その中で耐震等級3の木造住宅は、倒壊ゼロ・大破ゼロという結果が報告されています。
もちろん「絶対安全」とは言い切れません。しかし、“大きな被害がなく住み続けられた家が多かった事実”は非常に重い意味を持ちます。
災害が避けられない日本だからこそ、地震後もすぐ暮らしを立て直せる家こそ、本当の安心だと思っています。
◆構造計算書を必ず確認してください
家づくりをされる方に、必ずお伝えしていることがあります。
「構造計算書(許容応力度計算)を見せてもらえますか?」
これだけで、その会社が“構造をどれほど重視しているか”が分かります。
もし説明が曖昧だったり、計算書が提出できない場合は注意が必要です。
家は一生の資産。根拠のない安心ではなく、“数字で裏付けられた安心”を選んでいただきたいと思います。
◆木の家だからこそ「材の質」が構造を左右する

木造住宅は自然素材のため、一本一本、強度が異なります。だからこそ私は、特に構造的に重要な部分には、
- 強度の明確なJAS認定材
- 含水率が管理された乾燥材
- ヤング係数(E値)が確認できる材
といった、“性能が見える木材”を選ぶことを徹底しています。
特に紀州材は、密度が高く耐久性に優れ、構造材として極めて優秀です。地元で育った材を使うことは、次世代に自然をバトンタッチするとう考えからも重要です。
構造材は完成後は壁の中に隠れてしまいます。しかし見えない部分こそ、家の寿命と安全性を左右する核心です。
◆“丈夫で美しい家”が、暮らしの質を決める
耐震性能は数値で語られる世界ですが、守るのは「暮らし」そのものです。
強い家は、家族を守る。
美しい家は、家族の心を豊かにする。
この2つを同時に満たす家こそ、これからの住宅に求められる価値だと感じています。
私は、性能だけでも、デザインだけでもなく、「丈夫で、美しく、暮らしに馴染む家」をつくり続けたいと思っています。そのための基準が、耐震等級3+構造計算なのです。
■さいごに
建物の性能は完成するとほとんど見えなくなりますが、見えない部分こそが“暮らしの安全と安心を支える本物の土台”です。
これから家を建てる方には、ぜひ「構造」に正面から向き合ってほしいと思っています。そして、地震が来ても家族を守れる家を、一緒につくっていければ嬉しく思います。
NEXT CONTENTS 2. 高気密高断熱 ― 暖かくて涼しくて光熱費を抑えた家






