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漆喰と珪藻土のメリット・デメリット|後悔しない壁材選びのポイント

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「自然素材の壁にしてみたいけれど、珪藻土と漆喰ってどう違うの?」

家づくりやリフォームを考えるとき、こんな疑問を持つ方は少なくありません。せっかく自然素材を選んでも、特徴を知らずに決めてしまうと「雰囲気が思っていたのと違った」「お手入れが意外と大変だった」と感じてしまうこともあります。

漆喰はお城や蔵にも使われてきた歴史ある素材で、その清らかな白さと防カビ性が魅力です。一方、珪藻土は調湿や消臭に優れ、素朴で温かみのある質感で人気を集めています。どちらも暮らしを快適にしてくれる力を持っていますが、選び方のポイントを知ることが大切です。

和歌山県田辺市の木の家専門工務店、谷中幹工務店です。この記事では、珪藻土と漆喰の違いを「性質」「性能」「デザイン」「お手入れ」などの視点から整理し、どんな住まいにどちらが合うのかをわかりやすくまとめました。
読んでいただければ、「自分の暮らしにはどちらがぴったりか」が自然と見えてきます。

自然素材の壁を選ぶことで、心地よく、安心して長く暮らせる住まいを手に入れることができます。

結論を先にお伝えすると、「正解はひとつではなく、暮らし方や好みに合わせて選ぶこと」が大切です。ぜひこの記事を参考に、あなたの理想の住まいにふさわしい壁材を見つけてください。

 

この記事で得られる5つの答え

漆喰は「防カビ性と清潔感」、珪藻土は「調湿力と消臭性」に優れることを理解できる。

住まいの空間に応じて、漆喰はリビングや水回り珪藻土は寝室や収納内部に適していると分かる。

デザイン性の違いを整理でき、漆喰は端正でモダン珪藻土はナチュラルで温かみがあると理解できる。

施工やメンテナンスにおいて、漆喰は耐久性が高く珪藻土は補修のしやすさが強みであることがわかる。

最終的に、「どちらが絶対に優れている」わけではなく暮らし方や価値観に合わせて選ぶことが最良の判断基準になると結論づけられる。

 

1. 珪藻土と漆喰の基本的な違い

1-1. 珪藻土とは何か?その特徴と歴史

珪藻土とは、植物プランクトンの一種である珪藻の殻が長い年月をかけて堆積してできた天然素材です。この珪藻土は、地中から採掘される鉱物質の土であり、多孔質な構造を持っているのが最大の特徴です。多くの微細な孔(あな)が空いているため、調湿性に優れており、室内の湿度を自動的にコントロールしてくれる建材として注目を集めています。

珪藻土の歴史は古く、日本でも昔から七輪やコンロ、火鉢の原料として使われてきました。耐火性が高いため、熱を扱う器具との相性が良く、長年にわたり生活の一部として利用されてきました。近年ではその自然素材としての価値が再評価され、内装材や壁材としても採用される機会が増えています。特にエコ建材としての人気が高まっています。

珪藻土のもうひとつの特徴は、消臭や断熱の効果がある点です。多孔質構造がにおいの原因物質を吸着し、室内の空気を清浄に保つ働きをします。また、熱を伝えにくい性質も持っており、夏は涼しく、冬は暖かい空間作りに一役買います。これにより、快適な住環境の実現が可能となります。

珪藻土は自然素材であるため、環境にも人にも優しい素材です。化学物質を含まない製品が多く、シックハウス症候群の予防にも効果があるとされます。特に小さなお子様やペットのいる家庭では、安全性の高い建材として重宝されています。このような背景から、健康志向の高まりとともに、住宅リフォームや新築時に選ばれるケースが増えています。

現代では、塗り壁材としての用途が最も一般的で、DIY用の珪藻土製品も多数販売されています。プロの左官職人が使う本格的なものから、家庭用の簡易パッケージまでバリエーションが豊富で、誰でも気軽に取り入れられるようになっています。調湿性、消臭性、断熱性、環境性能の高さなど、珪藻土の持つ多面的な魅力が広く知られるようになった結果と言えるでしょう。

1-2. 漆喰とは何か?その特徴と用途

漆喰(しっくい)は、日本の伝統的な建材として長い歴史を持ち、城や蔵、古民家などに広く使われてきました。主成分は石灰石を焼成して得られる消石灰で、これに海藻糊やスサ(繊維質材料)などを加えて仕上げ材として用います。自然素材を用いた左官材である漆喰は、その美しい白さ独特の質感が特徴です。

漆喰の大きな魅力のひとつは、塗り壁ならではの風合いと、手作業による仕上げの美しさです。熟練の左官職人によって塗られた壁は、鏝跡(こてあと)や凹凸が生み出す陰影があり、空間に深みと趣を与えてくれます。最近では、あえて模様を残した仕上げや、顔料を混ぜたカラー漆喰なども登場し、モダンな住宅にも自然に馴染むよう進化しています。

漆喰は単なる装飾材ではなく、機能性にも優れています。特に調湿性に優れており、室内の湿度が高いときには水分を吸収し、乾燥しているときには放出することで、快適な室内環境を保つ役割を果たします。また、アルカリ性の特性によって抗菌性があり、カビや雑菌の繁殖を抑える効果も期待できます。

耐久性にも優れており、外壁に使用しても風雨や紫外線による劣化が少なく、長期間美観を保つことができます。実際に、何百年も前の蔵や建築物がいまなお美しい白さを維持しているのは、漆喰の堅牢さ自浄作用によるものです。こうした実績は、漆喰が信頼性の高い建材であることを証明しています。

現代の住宅でも、漆喰は内装や外装の仕上げ材として幅広く活用されています。リビングや玄関、トイレなど、空気環境に気を配りたい場所に採用されることが多く、自然素材を取り入れた健康志向の住まいづくりに貢献しています。デザイン性と機能性を兼ね備えた漆喰は、ナチュラルで上質な住空間を求める方にとって、非常に魅力的な選択肢といえるでしょう。

1-3. 成分や原料の違いとは

珪藻土と漆喰は、どちらも自然素材を原料とした塗り壁材ですが、その成り立ちや主成分には大きな違いがあります。まず、珪藻土は植物プランクトンの一種である「珪藻」の殻が化石化し、長い年月をかけて堆積した土が原料となっています。この土は非常に細かい多孔質構造をしており、水分や空気を吸収・放出する能力に優れています。

一方で、漆喰の主成分は「石灰石」です。石灰石を焼いて水を加えることで生まれる「消石灰」がベースになり、これに天然のりやスサ(繊維)、時には顔料などを混ぜて使用されます。石灰の持つ強アルカリ性が防カビや抗菌の性質を生み出し、また時間が経つことで空気中の二酸化炭素と反応し、硬化する「吸収硬化型」の素材であることも大きな特徴です。

珪藻土と漆喰の大きな違いは、原料だけでなく「性質の由来」にもあります。珪藻土はその物理的な構造、多孔質による調湿・消臭機能が主な特長ですが、漆喰は化学的な性質によって抗菌性や耐久性を発揮します。つまり、似たような効果を持っていても、それぞれが異なるメカニズムで働いている点が興味深いポイントです。

また、製品としての「純度」や「添加物の有無」も選ぶ際の重要なポイントです。たとえば、市販されている珪藻土壁材の中には、施工性を高めるために合成樹脂や接着剤を添加しているものもあります。これにより本来の機能が損なわれる場合もあるため、購入時には成分表記の確認が欠かせません。漆喰も同様に、純粋な消石灰ベースのものと、施工しやすさ重視の混合品があるため注意が必要です。

最後に、環境負荷の観点から見ても両者には違いがあります。どちらも天然素材であることには変わりありませんが、製造工程や採掘場所の違いにより、地球環境への影響も異なります。近年では、原料の産地や加工工程にも配慮した製品が増えてきており、サステナブルな住まいづくりの一環として、原材料への関心も高まっています。

1-4. 色味や質感の比較

珪藻土と漆喰は、どちらも自然素材ならではの柔らかな風合いが魅力ですが、その色味や質感には明確な違いがあります。まず色について、漆喰は本来「白」が基本色であり、真っ白な仕上がりは清潔感と上品さを感じさせます。一方、珪藻土は素材そのものが淡いベージュやグレーのような自然な色合いを持っており、無着色でも温かみのある印象を与えるのが特徴です。

近年では、漆喰・珪藻土の両方ともに顔料を加えてカラーバリエーションを出せるようになっています。ただし、漆喰はもともと強アルカリ性であるため、顔料との相性に注意が必要で、淡いパステル調の色合いが主流となります。対して珪藻土は色を比較的自由に調整できるため、アイボリーやサンドカラー、ブルーグレーなど、インテリアに合わせやすい柔らかいトーンが人気です。

質感について見ると、漆喰滑らかで艶のある仕上がりが特徴です。鏝で丁寧に塗り込まれた面は、光を柔らかく反射し、落ち着いた空間を演出します。特に職人の手仕事が光る部分であり、フラットな仕上げから、あえて模様を残す意匠的な塗り方まで、表現の幅も豊かです。

一方、珪藻土の仕上がりはマットで柔らかな印象を持ちます。表面はややザラつきがあり、自然素材らしい素朴さやナチュラル感が魅力です。また、使用する工具や塗り方によって凹凸の出し方も変わるため、手作り感のある温もりある空間をつくりやすい点が特徴です。

最終的な印象として、漆喰は「端正で洗練された雰囲気」、珪藻土は「温かみとナチュラルさ」が強く出る傾向があります。どちらを選ぶかは、家全体のデザインコンセプトや好みによるところが大きく、それぞれが持つ風合いの違いを理解することが、満足のいく空間づくりへの第一歩となるでしょう。

1-5. 和風住宅に適したのはどっち?

和風住宅に使う内装材を選ぶうえで、珪藻土漆喰はどちらも魅力的な候補です。どちらも自然素材を活かした塗り壁材であり、伝統的な日本建築との相性も良好です。しかし、それぞれの持つ質感や色味、雰囲気には違いがあり、空間の印象に与える影響も異なります。選ぶ際には、機能性だけでなく、仕上がりの風合い家全体の調和を意識することが大切です。

漆喰は、まさに「和の建築」と深く結びついた素材です。城壁や蔵、町家などに広く使われてきた背景があり、その白く上品な表情は、畳や木材を多用した和室との相性が非常に良いです。また、近年ではその美しさと機能性が評価され、シンプルモダンや和モダンといった現代的な住宅デザインにも幅広く取り入れられています。左官職人の手仕事による仕上げが、空間に深みと個性を与える点も、漆喰ならではの魅力です。

一方、珪藻土は自然な色味とマットな質感が特徴で、素朴で温かみのある空間を演出するのに適しています。現代和風の住宅や和モダンのスタイルとの相性がよく、木の風合いを活かした柔らかい空間づくりに貢献します。また、調湿性能や消臭性にも優れており、住み心地の良さを重視したい方にとっては魅力的な選択肢となります。

細かいデザインの面でも違いがあります。漆喰はフラットでシャープな仕上がりが得意で、伝統的な様式美を表現するのに適しています。現代の住宅でもその清潔感や直線的な美しさが評価され、シンプルモダンやミニマルデザインにもよく採用されます。一方、珪藻土は表面に柔らかな凹凸が出やすく、自然なムラや立体感を出すことができるため、ナチュラルで温かみのある空間に向いています。モダンな内装でも、木質の家具や自然素材と組み合わせることで、調和のとれた落ち着いた印象に仕上げることができます。

結論としては、重厚感や端正な美しさを重視するなら「漆喰」、自然な温かみや調湿機能を重視するなら「珪藻土」が適しています。漆喰は伝統的な和風建築だけでなく、シンプルモダンや和モダンの住宅にも映える素材です。珪藻土もまた、ナチュラルテイストや現代的な内装との相性が良く、落ち着いた空間づくりに向いています。どちらも和と洋、伝統と現代の両方に対応できる懐の深さを持っており、それぞれの特性を理解したうえで、家全体のデザインや用途に合わせて選ぶことが理想の住まいづくりにつながります。

2. 性能面で比較する珪藻土と漆喰

2-1. 調湿性の違い

珪藻土と漆喰はいずれも調湿性能を持つ塗り壁材ですが、その働き方や得意分野には違いがあります。珪藻土は無数の微細な孔を持つ多孔質構造が特徴で、この孔が湿気を吸ったり放出したりすることで、室内の湿度を自然にコントロールします。そのため、梅雨時のジメジメや冬の乾燥といった季節ごとの湿度変化を緩和する効果が高いのが特長です。

一方、漆喰の調湿性は珪藻土ほど強くはありませんが、それでもビニールクロスなど一般的な壁材と比べると格段に優れています。漆喰は表面から湿気を吸収し、内部構造を通して放出することで室内環境を整えます。また、漆喰はアルカリ性による防カビ効果と調湿性が相まって、湿気によるカビの発生を抑える点でも有効です。

調湿性能は素材そのものの働きに依存するため、施工面積が広いほど効果を発揮します。特に珪藻土は細孔の数が多く、急激な湿度変化にも素早く対応できるため、寝室や押し入れ、クローゼットなど湿気がこもりやすい場所に向いています。

漆喰や珪藻土は調湿性によって結露の発生を軽減する効果があります。空気中の余分な湿気を吸収し、室内湿度を安定させることで、壁や天井の表面温度と空気の露点温度との差を縮め、結露しにくい環境をつくります。ただし、極端な温度差や高湿度環境では完全に防ぐことはできません。特に窓ガラスや金属部分など、調湿材が使われていない箇所では結露が発生する場合があります。そのため、換気や断熱対策と組み合わせて使用することが理想的です。

まとめると、調湿性能を最優先するなら珪藻土調湿と防カビ性をバランスよく取り入れたいなら漆喰が適しています。それぞれの特徴を踏まえて、設置する部屋や用途に応じた選択を行うことが、快適な室内環境づくりのポイントです。

2-2. 消臭効果と有害物質の吸着力

珪藻土と漆喰はいずれも自然素材として、室内の空気を清浄に保つ効果が期待できます。特に珪藻土多孔質構造により、生活臭やタバコ臭、ペットのにおいなどの臭気成分を吸着する力が高いとされています。壁に触れた空気が微細な孔を通ることで、臭いの分子を閉じ込め、時間とともに空気をすっきりとさせます。

漆喰もまた、消臭効果を持っています。こちらは物理的な吸着よりも、アルカリ性による化学反応によって臭気成分を分解する働きが主体です。特にアンモニア臭や生ゴミのにおいなど、酸性寄りの臭気には強く、キッチンやトイレといった特定の空間で効果を発揮します。

有害物質の吸着という面では、珪藻土ホルムアルデヒドやトルエンなどのVOC(揮発性有機化合物)を吸着する性能が注目されています。これにより、新築やリフォーム直後に発生しやすい「新築臭」を抑える効果が期待できます。一方、漆喰強アルカリ性によって一部の化学物質を中和・分解する働きがあり、空気環境を清浄に保つのに貢献します。

ただし、いずれも空気清浄機のように瞬時に効果が出るわけではない点には注意が必要です。効果は持続的かつ緩やかに現れる性質であるため、日常の換気や掃除と併用することでより高い効果を発揮します。特に閉め切った空間や風通しの悪い部屋ほど、これらの素材の恩恵を感じやすくなります。

まとめると、珪藻土物理的な吸着による幅広い臭気対策やVOC低減に優れ、漆喰化学的な分解による特定臭気の抑制や抗菌性に強みがあります。用途や空間の性質に応じて使い分けることで、快適で健康的な室内空気を保つことができます。

2-3. 耐久性とメンテナンスのしやすさ

珪藻土と漆喰は、どちらも長期間使える自然素材ですが、耐久性の性質やお手入れ方法には違いがあります。漆喰は硬化度が高く、外壁や蔵にも使われてきたほどの耐久性を持ちます。紫外線や風雨に強く、適切に施工された漆喰壁は数十年単位で美観を保てる点が大きな魅力です。

一方、珪藻土は漆喰ほど硬化しないため、強い衝撃や擦れに弱い傾向があります。家具の移動や物の接触で表面が削れたり凹むことがありますが、同じ材料で部分補修しやすく、DIYでも対応可能です。この補修の手軽さは、日常生活での安心感につながります。

お手入れの面では、漆喰は汚れやカビが付きにくく、日常的には柔らかいハンディモップや乾いた布でほこりを払う程度で十分です。軽い汚れは消しゴムで落とせますが、強くこすらないよう注意が必要です。純白ゆえに経年変化やシミは目立ちやすいため、早めに対応することが望まれます。

珪藻土はマットな質感と自然な色味で、多少の汚れや擦れが目立ちにくいのが利点です。日常的なお手入れは柔らかいブラシやモップでほこりを払うだけで十分。軽い汚れは消しゴムやメラミンスポンジで優しくこすって落とします。水拭きする場合は硬く絞った布を使い、水分を含ませすぎないよう注意することが重要です。

共通するお手入れのポイントとして、定期的な換気で湿気をこもらせないこと、家具や家電を壁から少し離して設置して通気を確保することが挙げられます。大きな傷や欠けは、どちらも同じ素材での部分補修が可能です。総合的に、耐久性の高さを重視するなら漆喰補修や日常的なお手入れの手軽さを求めるなら珪藻土が向いています。

2-4. カビや汚れへの耐性

漆喰と珪藻土はいずれも自然素材ですが、カビや汚れに対する耐性は性質の違いによって差があります。漆喰強アルカリ性を持ち、表面環境がカビや細菌にとって繁殖しにくい状態になるため、防カビ性能に優れているのが特徴です。そのため、湿度が高くカビが発生しやすい梅雨時期や水回りでも、比較的清潔に保ちやすい点が評価されています。

一方、珪藻土も調湿性によってカビ発生の抑制に貢献しますが、漆喰のようにアルカリ性による殺菌作用はありません。そのため、高湿度の環境が長期間続く場合や換気が不十分な場合には、表面にカビが発生する可能性があります。したがって、定期的な換気と湿度管理が重要です。

汚れへの耐性については、漆喰は表面が比較的硬く緻密で、水や汚れが浸透しにくい構造を持ちます。しかし、純白ゆえに軽い擦れやシミでも目立ちやすい点には注意が必要です。軽度の汚れなら消しゴムや柔らかい布で対応可能ですが、頑固なシミは部分的な塗り直しが必要になる場合があります。

珪藻土はマットな質感と自然な色合いのおかげで軽い汚れは目立ちにくい一方、表面が柔らかく多孔質であるため、水分や油分を吸いやすいという特徴があります。特にキッチンや手の触れる場所では、油はねや手あかがシミとして残ることがあるため、使用場所を選んだり、必要に応じて保護剤を塗布する方法も有効です。

総合的に見ると、防カビ性能や汚れの浸透しにくさでは漆喰が有利ですが、珪藻土も適切な環境管理とお手入れを行えば十分に清潔な状態を保てます。用途や設置場所の環境条件を踏まえた選択と、日常的な湿度・換気管理が、長く美しい状態を維持するための鍵となります。

2-5. 施工性と施工コストの違い

珪藻土と漆喰はどちらも左官仕上げによる施工が基本ですが、その施工性やコストには違いがあります。漆喰は硬化が早く、均一な仕上がりを得るためには職人の高度な技術が求められます。そのため施工単価はやや高めで、内装でも1㎡あたり数千円程度が一般的です。外装となるとさらに高くなる傾向があります。

一方、珪藻土は漆喰よりも施工の自由度が高く、比較的ゆっくり硬化するため、模様付けや表情づけがしやすい素材です。ただし、製品によっては施工時に下地処理や混合作業が必要で、扱い方を誤ると本来の性能が発揮されないこともあります。コストは漆喰と同程度かやや低めですが、高品質な製品やデザイン性の高い仕上げの場合は費用が上がることもあります。

施工コストには、材料費だけでなく下地処理費や養生費、職人の人件費も含まれます。特に既存の壁の上から塗る場合や、下地の状態が悪い場合は、補修や下地作りに時間と費用がかかるため、見積もり時にはこれらの条件をしっかり確認することが大切です。

漆喰は仕上がりの緻密さや耐久性に優れる一方、施工には熟練した技術が不可欠です。珪藻土はデザイン性や質感の幅が広く、自由度の高い仕上げが可能ですが、その性能を最大限に発揮するためにもプロの技術が求められます。どちらも長期的な耐久性を確保するには、適切な下地処理と経験豊富な職人による施工が重要です。

総合的に見ると、デザインや仕上げの自由度では珪藻土緻密で均一な美しさでは漆喰が優れています。コストは施工条件や仕上げ方によって大きく変動するため、予算と求める仕上がりのバランスを考慮して選択することが大切です。

2-6. 中霧島壁(なかきりしまかべ)とは何か?

中霧島壁(なかきりしまかべ)は、鹿児島県・霧島地方で採れる「シラス」と呼ばれる火山噴出物を主原料とした自然素材の塗り壁材です。シラスは火山活動によって生まれた軽石や火山灰が長い年月をかけて堆積したもので、多孔質構造を持ち、調湿・消臭・有害物質の吸着に優れています。

中霧島壁の大きな特徴は、非常に高い消臭性能です。ペット臭やタバコ臭、生活臭など、日常生活で発生するさまざまな臭い成分を素早く吸着し、中和します。特に閉め切った部屋や玄関など、臭いがこもりやすい空間でその効果を実感しやすい素材です。

調湿性能にも優れており、湿度の高いときには水分を吸収し、乾燥時には放出することで快適な湿度を保ちます。この働きにより、カビやダニの発生を抑える効果も期待できます。また、化学物質を吸着する性質から、シックハウス症候群対策としても注目されています。

耐久性の面では、シラス特有のミネラル成分により色あせや劣化が少なく、長期間にわたって美しい風合いを維持します。さらに、静電気が発生しにくい性質を持つため、ほこりが付きにくく、室内の清潔さを保ちやすいのも利点です。

施工にあたっては左官仕上げが基本で、質感や色合いのバリエーションも豊富です。和風住宅からモダンな空間まで幅広く対応でき、機能性とデザイン性を両立できる素材として人気があります。総合的に、中霧島壁は「調湿・消臭・空気浄化」の3つを兼ね備えた高性能な塗り壁材といえます。

3. 現代住宅における活用方法と選び方

3-1. どの空間にどちらを使うべきか

珪藻土と漆喰は、空間の用途や求める雰囲気によって適材適所があります。両者とも室内環境を整える機能を持ちますが、調湿力や防カビ性、質感の違いを理解して配置することで、より快適で長く愛される住まいを実現できます。

リビングやダイニングなど、家族や来客が集まる場所には漆喰が適しています。漆喰はその白く端正な仕上がりが空間を明るく見せ、広がりを感じさせます。また、抗菌性と防カビ性に優れているため、人が多く集まりやすい空間でも清潔感を保ちやすい点が魅力です。

寝室や書斎など、静かで落ち着いた雰囲気を重視する空間には珪藻土が向いています。多孔質構造による高い調湿性で、一晩中快適な湿度を保ちやすく、睡眠環境の改善にもつながります。さらに、マットで柔らかな質感がリラックス感を高める効果もあります。

キッチンや洗面所などの水回りには、防カビ性の高い漆喰が有利です。湿気や水しぶきがかかってもカビが発生しにくく、汚れが浸透しにくい構造のため、日常の清掃も容易です。特に明るく清潔感のある空間を保ちたい場合におすすめです。

押し入れやクローゼットなどの収納内部には、珪藻土の調湿・消臭効果が活きます。湿気やこもった臭いを抑え、収納品の劣化防止にもつながります。用途や環境に合わせて珪藻土と漆喰を組み合わせて使うことで、家全体の快適性を最大化できます。

3-2. デザイン性とインテリアとの相性

珪藻土と漆喰はいずれも自然素材ならではの風合いが魅力ですが、仕上がりの印象やインテリアとの相性には違いがあります。どちらもカラーや質感のバリエーションが増えており、和風・洋風・モダンなど、さまざまなスタイルに対応できる柔軟性を備えています。

漆喰は、端正で滑らかな仕上がりが特徴です。純白の壁面は光を柔らかく反射し、空間を明るく上品に演出します。特にシンプルモダンや北欧スタイルなど、直線的で洗練されたデザインのインテリアと相性が良く、清潔感や高級感を求める空間に最適です。

珪藻土マットで温かみのある質感が魅力で、木材や布地といった自然素材との調和に優れます。色味はベージュやアイボリー、淡いグレーなど、ナチュラルなトーンが中心で、和モダンやカフェ風の落ち着いたインテリアに溶け込みやすいです。

最近では、漆喰・珪藻土ともにカラー顔料を混ぜた製品が登場し、アクセントウォールや個性的なデザインも可能になっています。漆喰ではパステル調の柔らかい色味が人気で、珪藻土ではアースカラーや落ち着いた中間色が選ばれる傾向があります。

空間全体の印象を左右する壁材選びでは、デザイン性と機能性の両立が重要です。漆喰は上品で洗練された雰囲気を、珪藻土は温かみと自然な心地よさを演出します。インテリアのテーマや家具の素材感に合わせて選ぶことで、統一感のある理想的な住まいが完成します。

3-3. 長く美しさを保つための注意点

珪藻土と漆喰はどちらも耐久性の高い自然素材ですが、美しさを長期間保つためには日常的な配慮が欠かせません。特に室内環境や使い方によっては、経年変化や汚れの付き方に差が出やすいため、予防策を意識することが大切です。

漆喰は表面が硬く汚れが付きにくい反面、純白の色味ゆえに小さなシミや擦れも目立ちやすい素材です。家具や家電の設置時には壁と接触しないように隙間を確保し、移動の際には養生シートを活用することで傷や汚れを防げます。

珪藻土はマットな質感で汚れが目立ちにくい利点がありますが、多孔質ゆえに油や色の濃い液体が染み込みやすい性質があります。特にキッチンや飲食スペースでは、壁際に飛び散り防止のパネル家具配置の工夫を行うことで汚れの定着を防げます。

両素材に共通して重要なのは、湿度と換気の管理です。結露や高湿度はカビやシミの原因となるため、定期的な換気や除湿器の使用で安定した室内環境を保つことが、美観維持につながります。

定期的な軽清掃も効果的です。漆喰は乾拭きや消しゴムで、珪藻土は柔らかいブラシや固く絞った布で優しくお手入れします。これらを習慣化することで、施工当初の美しさを長く楽しむことができます。

3-4. リフォームで取り入れる際の注意点

漆喰や珪藻土をリフォームで取り入れる際には、新築時と異なる注意点があります。既存の壁材や下地の状態が仕上がりや耐久性に大きく影響するため、施工前の点検と準備が非常に重要です。特にクロス張りの壁に直接塗る場合は、下地処理の方法によって仕上がりの質が左右されます。

漆喰を使う場合、既存の壁がしっかりしていれば上塗りが可能ですが、古いクロスや塗装壁が劣化している場合は下地を剥がすか、専用の下地材を用いる必要があります。下地の不備をそのままにすると剥離やひび割れの原因となるため注意が必要です。

珪藻土の場合も同様に、下地処理がポイントです。クロスの上から施工できる製品もありますが、凹凸や継ぎ目が仕上げに影響するため、平滑に整える作業が欠かせません。また、吸水性のある下地では、塗布後にムラが出やすいため、シーラーでの処理が推奨されます。

コスト面では、新築よりリフォームの方が追加費用がかかることがあります。既存の壁材撤去や下地補修が必要になるため、見積もりの段階で追加作業が含まれているかを必ず確認することが大切です。

リフォームにおいては、既存住宅の雰囲気やインテリアとの調和も考慮すべき点です。全体のデザインに合った質感や色味を選ぶことで、違和感のない仕上がりになります。施工会社とよく相談し、サンプルを実際に確認してから決定すると失敗を防ぎやすくなります。

3-5. 珪藻土と漆喰を選ぶ最終判断基準

珪藻土と漆喰はいずれも優れた自然素材ですが、最終的にどちらを選ぶかは住まい手の価値観やライフスタイルによって決まります。調湿や消臭といった機能面を重視するのかデザイン性や空間の統一感を優先するのかを明確にすることが判断の第一歩です。

機能性を基準にするなら、調湿や消臭を最大限に生かしたい場合は珪藻土防カビ性や耐久性を重視するなら漆喰が向いています。特に湿度が高い地域や水回りでは漆喰収納内部や寝室など落ち着いた空間には珪藻土が効果を発揮します。

デザイン性で選ぶ場合は、明るく洗練された印象を求めるなら漆喰温かみや自然な雰囲気を大切にするなら珪藻土が適しています。インテリアや家具との相性を確認し、全体として違和感のない選択をすることが大切です。

コストや施工性の面では大きな差はありませんが、仕上がりや耐久性を考えると、どちらもプロによる丁寧な施工が欠かせません。信頼できる施工業者を選びサンプルや施工事例を確認することで、失敗を防ぎやすくなります。

総合的に見ると、どちらか一方が絶対的に優れているわけではなく、住まいの環境・用途・価値観に応じて最適解は異なります。最終的には「自分たちがどのような暮らしをしたいのか」という視点から選ぶことが、満足度の高い住まいづくりにつながります。

まとめ

珪藻土と漆喰は、いずれも自然素材として古くから日本の住まいに取り入れられてきた壁材です。本記事では、それぞれの原料や性質、性能面での違いから、現代住宅での活用方法まで幅広く整理してきました。両者の最大の共通点は「自然の力を生かして住環境を快適にする」という点であり、調湿や空気浄化、耐久性に優れ、健康的な住まいを支える素材であることに変わりはありません。一方で、漆喰は強アルカリ性による防カビ性や純白で洗練された仕上がりに特徴があり、珪藻土は多孔質構造による高い調湿力や消臭性、そしてマットで温かみのある質感が魅力といえます。

住まいへの取り入れ方については、リビングやダイニングなど明るさと清潔感を重視する空間には漆喰が、寝室や収納内部など湿度や臭い対策が求められる場所には珪藻土が向いています。ただし、同じ住まいの中で安易に塗り分けを行うと統一感を損なうこともあるため注意が必要です。全体のデザインやインテリアとの調和を意識し、必要な機能を発揮させたい箇所に重点的に使うと、快適さと統一感を両立できます。

メンテナンスや美観維持の観点から見ると、漆喰は汚れがつきにくい反面、小さなシミでも目立ちやすいため早めの対応が大切です。珪藻土は多少の汚れが目立ちにくい利点がある一方、液体や油分が染み込みやすいため、施工場所や家具配置に工夫が求められます。いずれも日常的な換気や軽清掃を習慣化し、定期的にチェックすることで施工当初の美しさを長く楽しめるでしょう。

リフォームで取り入れる場合には、既存の下地状態が仕上がりや耐久性に大きく影響します。クロスや塗装壁の劣化が進んでいる場合は適切な下地処理が必須であり、見積もりの段階で追加作業が含まれているかを確認することが欠かせません。施工にあたってはどちらも職人の技術が品質を左右するため、信頼できる施工業者を選ぶこと、サンプルや実績をよく確認してから依頼することが重要です。

最終的にどちらを選ぶかは、機能性を優先するか、デザイン性を優先するか、または両者のバランスをどのように取るかによって決まります。珪藻土は湿度や臭いに敏感な方や自然な風合いを好む方に漆喰は耐久性や防カビ性、清潔感を重視する方に適しています。どちらか一方が絶対的に優れているわけではなく、住まい手の価値観や暮らし方に合わせて最適な素材を選ぶことが、満足度の高い住まいづくりにつながります。

今後、住宅における自然素材の需要はますます高まると予想されます。健康や環境への配慮、そして長く快適に暮らすための知恵として、珪藻土や漆喰の価値は再評価されています。本記事を通じて両者の違いを理解し、自分の住まいにどの素材がふさわしいのかを考えるきっかけとしていただければ幸いです。もし具体的に導入を検討する際は、施工業者と十分に相談しながら、ライフスタイルやインテリア全体の調和を見据えた計画を立てることをおすすめします。

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