相続税と贈与税とアパート建設
和歌山県田辺市を中心に『木の家』の注文住宅の新築、リフォーム、リノベーションを行ってます、谷中幹工務店の谷中伸哉です。さて、全国的にも話題になってますが、アパート建設を当地方でもよく見かけます。色々な理由があるかと思いますが、相続税の改正が大きなもののひとつと言ってよいでしょう。相続税とは誰かが亡くなった時におこる相続に対してかかる税金です。社会保障と税の一体改革案のなかで相続税の改正が行われまして、平成27年1月1日以後の相続から適用になった基礎控除の改正がそれまで一部のお金持ちにしか掛らないと考えられていた相続税のイメージを変えてしまったと言っても過言ではありません。国税庁の資料によると、改正前に相続税の課税対象になったのは全体の4.2%、100人に4人程度だったのですが、改正後は倍増の8%にまでなったのですが、それには基礎控除が大きく関係しています。では基礎控除とはどういったものなのでしょう?
例えば8,000万円の資産を残して亡くなったAさんがいて、その方には奥さんと子供2人がいたとします。相続税を計算する場合、相続財産から基礎控除などを引いて残った分に対して相続税がかかります。その算出の仕方を改正前、改正後で比較していきましょう。
改正前の基礎控除の算出式
『5,000万円(これはどなたでも同じ金額です)×1,000万円×法定相続人数』 つまりAさんの場合法定相続人は奥さんと子供2人の計3人ですので、
『5,000万円+1,000万円×3人』=8,000万円
となりAさんは8,000万円もの資産を残して亡くなりましたが、基礎控除のお陰で相続税はかからなかったのです。これが
改正後の基礎控除の算出式
『3,000万円+600万円×法定相続人数』となり、計算してみますと
『3,000万円+600万円×3人』=4,800万円
となり8,000万円から4,800万円を差し引いて残った3,200万円が相続税の対象となってしまったのです。
実際には相続税には『配偶者の税額の軽減』というものがありますので、これを利用するとAさんが亡くなった時には奥さんには相続税が掛らない様にする事が出来きます。旦那さんが亡くなって住んでいる家を売らないと相続税が払えないなんて恐ろしい事は避けられます。気になる方はきちんと税理士さんにご相談する事をお勧めします。
では、相続税の対象になりそうな方が相続税を掛らない様にするためにどうすればと考えると、その相続財産を減らそうとなります。そこで更地にアパートを建てる事により現金資産を減らし、更地に建物を建てる事で土地の評価を下げたりします。1億円使ってアパートを建てた場合、相続財産としては建設費の1億円ではなく固定資産評価額となります。固定資産の評価額は一般的には建設費の50~60%と言われてます。アパートの場合は更に借家権割合(全国一律30%)が割り引かれるので50%~60%×70%=35%~42%とり相続財産としては3,500万円~4,200万円の評価となるのです。ちなみに更地の場合を100とするとアパートを建てると80にまで土地の評価を下げる事が出来るのでアパート経営は相続税対策になると考えられてます。さらにローンを組んでいる場合は負債となるのでさらに相続財産が目減りする仕組みです。一見いい事ずくめのようにみえますが、ここでネックとなっているのがこの仕組みを支える家賃収入が計画通りに進むかってところ。これがリスクとなり少しづつ問題となって来てますが、一気に顕在化する恐れのある事だと危惧してます。
『住宅取得等資金の贈与税の非課税』
これとは別にリスクなく相続財産を相続人に移すのが『住宅取得等資金の贈与税の非課税』これは平成27年1月1日から平成33年12月31日までの間に直系尊属(自分のお父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃんなど)から受ける贈与で家を建てる資金(金銭)にあてる場合は一定の金額が非課税になると言うものです。これによって税金がかからず、相続財産を減らす(相続人に移行)することが出来るのです。非課税の金額は下記の通りです。日時は契約の締結日になります。
平成27年12月31日まで
省エネ等住宅1,500万円 それ以外 1,000万円
平成28年1月1日~平成32年3月31日まで
省エネ等住宅1,200万円 それ以外700万円
平成32年4月1日~平成33年3月31日まで
省エネ等住宅1,000万円 それ以外500万円
平成33年4月1日~平成33年12月31日まで
省エネ等住宅800万円 それ以外300万円
さらに消費税が10%になった場合では(なんだか嫌らしく感じてしまいますが・・・)
平成31年4月1日~平成32年3月31日まで
省エネ等住宅3,000万円 それ以外2,500万円
平成32年4月1日~平成33年3月31日まで
省エネ等住宅1,500万円 それ以外1,000万円
平成33年4月1日~平成33年12月31日まで
省エネ等住宅1,200万円 それ以外700万円
この適用を受ける為の要件としましては色々ありますが代表的なものとしては以下のものがあります。
①受ける側の年齢が贈与と受けた年の1月1日において20歳以上
②所得が2,000万円以下
③贈与を受けた翌年の3月15日までに居住、または遅滞なく居住することが確実であること
それから期限内の申告も必要になります。この期限とは贈与を受けた翌年の2月1日~3月15日です。くれぐれも忘れませんように。申告をしないと適用をうけれませんので!
詳しくは国税局のH.Pにも詳しくのってますのでご参照ください。
長文、最後まで読んで頂いてありがとうございます。
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